グリーンランド

グリーンランドディナー

 今夜はTさんがレストランでグリーンランド的な料理のディナーを予約してくれていたので、みんなカフェテリアへ 6時に集合です。今日のメニューはトナカイにジャコウ牛にクジラ。どれも珍しい食べ物でどんな味かとても気になります。 みんな揃ってカフェテリアの奥にあるレストランへ入り、それぞれ注文した飲み物と先に出てきたパンをつまみながら、 料理が出てくるまでしばらく雑談です。私の向かいにはLさんが座っていたので、
 私「Lさん、ホッキョクグマは見たことある?」
 Lさん「ああ、もう目と鼻の先で見たよ。カナダのチャーチルでね。あそこにはホッキョクグマの観察ツアーがあるから それに参加するといいよ」
 私「へえ、いいなあ。ほかにはどんな動物を見たことがあるの」
 Lさん「あと印象的なのはタイガーだね。きみ、インドのマディヤ・プラデシ州って知ってる?あそこには・・・」
とまあLさん、さすがに動物の話はネタが尽きません。そうこうしているうちに今日のメインが運ばれてきました。 一つの大きな皿に3種の肉がのっています。運んで来た人がこのたれはこの肉にといろいろ説明してくれます。
レストランでの食事
 さあ、まずはトナカイから。「うむ。ちょっとクセがあるけど、けっこういける」
 次にクジラ。「さすがはクジラ。これはうまい」
 最後にジャコウ牛。「うーむ。なんと表現したらいいのか」
一通り味見をしてみて、「やはり一番はクジラかな」というと、Mさんは「私はトナカイかな」といいます。 ジャコウ牛はハンバーグ状になっていましたが、ちょっとクセのあるパサパサした感じの肉でした。 しかしこの奇妙な味?のハンバーグも秘伝のソース?をかけて食べると、それなりにいけてしまいます。 結局いろいろと言いながらも全部平らげてしまいました。その上パンや大量に出てきたマッシュポテトもたくさん 食べたおかげで腹がはちきれそう。
 締めはカフェテリアへ移動し、コーヒーを飲みながら雑談です。
 私「Mさん、今日もオーロラがんばるの」
 Mさん「うん、私はそれが一番の目的だからね。でも今日は出てくれるかなあ」
 私「今日もいい天気だから可能性大だね。うちらも頑張ろうか」
 奥さん「うん、もちろん」
私たちにはまだまだ長い夜が続きます。

野生動物観察ツアー

 今日は午前中、Kangerlussuaqの周辺に生息する野生動物をおなじみの4WDで観察に出かけます。 いつものカフェテリアで朝食を食べロビーへ行くと、そこにはすでにMさんやTさんがお集まりです。
 私と奥さん「おはようございます。昨日はオーロラどうでした?」
 Mさん「昨日も出てましたねえ。昨夜は道路の先の暗いところまでいってがんばりましたよ。でも、ロッジで見た ときよりは小さくて色も薄かったなあ」
 Tさん「そうですか、じゃあなおさらロッジで見ておいてよかったですね」
などと雑談をしていると、Lさんもやってきました。
 みんな「おはよう、Lさん。今日は楽しみな動物観察ですね」
 Lさん「ああ、撮影準備は万全だよ」
全員揃ったところでトムさんの運転で出発です。旧米軍基地施設を抜け、町外れの橋にかかると、ふいにトムさんが 車を止めました。どうしたんだろうと思っていると、トムさん、橋の上のほうを指して、
 トムさん「ほら、あそこにレイブンがいるよ」
 みんな「えっ、レイブンってカラス(クロウ)だっけ?」
 Lさん「ああ、クロウね」
 トムさん「ノーノー、クロウではなく、レイブンだよ」
 Tさん「大ガラスですね。まあ日本語では両方ともカラスといいますけど」
なるほど、1つ勉強になりました。
2体の年老いたジャコウ牛
 車は橋を渡ると左に延びる坂をグングン登っていきます。しばらく走ると左側に雪で覆われた平原が見えてきました。 その平原の中にのんびりと枝ばかりの下草を食む2体の大きな動物がいます。すかさず近くの道端に車を止めると、 トムさんが「ほら、あれがジャコウ牛だ」と教えてくれました。みんなカメラを抱えて急いで車から降ります。
 トムさんから教わったように、近寄りすぎないよう注意をしながら慎重に歩み寄って行くのですが、向こうもかなり 用心深くすぐに遠ざかってしまいます。うーん、やはり高倍率ズームのカメラがないと。。。結局私は、豆粒のような ジャコウ牛2体を写真に収めてあとはまぶたの裏に焼き付けるのみです。
 私「あの2体は仲がよさそうだなあ。夫婦なのかな」
 トムさん「いや、ジャコウ牛は普段は群れで生活するんだけど、年をとると群れから離れて単独かあるいは数体で 暮らすようになるんだ。あれは年寄りのジャコウ牛だよ。もう少し先に群れがいると思うから行って見よう」
私たちは再び車で坂を登り丘の上に出ました。すると丘の反対側の斜面にはトムさんの言った通り、たくさんの ジャコウ牛が群れています。これにはLさんたまらずさっと車から降りて長い望遠レンズの付いたカメラを構えて、 ずんずん斜面を下って行きます。トムさんが心配して、「おーい、Lさん。あまり近づきすぎると危ないよ」。 そんな様子を、群れをバックにこりもせずデジカメでパチリ。でも写ったLさんもジャコウ牛に劣らず、 豆粒大になってしまいました。

丘頂からの壮大な風景

 野生動物の観察は、どれだけの動物に遭遇するかは運の要素もかなり大きいのですが、私たちはジャコウ牛や トナカイなどKangerlussuaq周辺の主だった動物には、一応近くで遭うことができたので、まあまあの運だった のかもしれません。
 一通りの動物を見てそれなりに満足した私たちを、トムさんはまだ時間もあることだからと丘の頂上へ連れて 行ってくれました。ここからの周囲の展望は抜群で、360度遠くまで見渡すことができます。
 一方にはKangerlussuaqの空港や建物が、丘を挟んで反対側はオーロラを観察したフルグソン湖が、そして他方 にはフィヨルドの終端が迫っています。ただし周りにさえぎるものがないので、風も吹いていてものすごく寒い。 私はこの絶景をデジカメに収めるべく、手袋を脱いで素手で撮影をしていたので、数分で手の感覚が薄れて痛く なってきました。おっと、こりゃいけない。と、ひとまず車に退散。持ってきていたカイロで手を温めて、 手袋を付けてから再度外へ。
 次に丘を降りて、ぐるりと反対側に回りこみレストハウスの建つ湖畔にやってきました。といってもレストハウスが オープンするのは夏場のみで今は閉まっています。ちなみに冬場は凍りついた湖を利用して、犬ぞりツアーの場所 として利用されています。
 トムさん「このあたりは夏場はバーベキューをしたり、ボート遊びをしたりする人で賑わうんだ」
 へぇー、でも今の風景からは夏場の賑わいが想像できないなと考えていると、Lさんが車を降りてレストハウスの裏へ 足早に歩いて行きます。ん?Lさん何か見つけたのかな?さっそく私も車を降りてそっちへ行って見ます。
 私「Lさん、何か見つけたの?」
 と、すかさず裏手へ回りこむと。。。そこには物陰で用を足すLさんの姿が。。。
 私「おっと、これは失礼」
犬の居住区
Lさんの所用も済み、みんな一通り撮影も終わったところで、Kangerlussuaqの町に引き返します。 これでこのツアーも終わりかと思いきや、車はホテルへ向かわずに教会やスポーツセンターのある方へと曲がります。 途中、トムさんが建物を指差し「ここは私の住んでいるアパートメントだよ」などと教えてくれます。 「なかなか快適そう。部屋の中はどうなっているのだろう?」などと考えていると、車はもう滑走路のはずれ(=町外れ) にやってきました。
 と、そこはKangerlussuaqの犬の居住区だったのです。大きな檻の中にはたくさんの勇ましい犬がほえていて、 中で人がなにやら作業をしています。トムさんはその人に一声かけたあと、
 トムさん「この犬たちは犬ぞりで活躍するんだ。犬ぞりツアーに出る人はこの犬たちのお世話になるよ」
そういえば犬ぞりツアーを申し込んでいたのはLさんだけだったななどと思っていると、中から何匹か犬を連れ出して くれました。せっかく連れ出してくれたのだからとみんなこぞって写真撮影。すると今度は近くの土手の上にトナカイの 姿が現れました。まさに動物観察のツアーだなぁ。

スーパーマーケット

ランチの飲み物を買いにスーパーへ
 グリーンランドでは寒さに体がなれていないせいか、それともすごく厚着をして歩いているせいか、普段より 疲れがたまりやすいようです。午前中の動物ツアーから戻った私たちは部屋へ入ったとたんにいっきに疲れが出て、 そのままベッドにうつ伏せ状態です。
 私「なんでこんなに疲れたんだ。とにかくちょっと休もう」
 奥さん「ほんと、ちょっと休まないともう動けないよ」
 私「この程度で疲れるようじゃ、お互いもう年かなあ」
 奥さん「お互いというのは当てはまらないけどね」
などとぼやきながら一眠りです。1時間ほど休息をとると今度はランチがまだだったことを思いだし、すると とたんに腹が減ってきました。
 私「よく寝たら腹が減ったね。朝食のときカフェテリアで作っておいたサンドウィッチでも食べようか。」
 奥さん「ああ、いいね。でも飲み物がないよ」
 私「そうか、でもミニバーの物は高いから、ちょっとスーパーまで買い出しに行って来ようか」
というわけで、空港玄関の向かいにあるスーパーマーケットに買い出しに出かけました。このスーパーはなんでも 売っています。食料品はもちろん、雑誌、おもちゃ、衣類、日用品 などなど。。。特に食肉売り場ではクジラやトナカイの肉、ソーセージなどがブロックで売られていて見るだけでも おもしろい。
 私「このトナカイのブロックなんか、おみやげによさそうだけど持って帰れるのかなあ」
 奥さん「持って帰れたとしても誰にあげるの」
 私「うーむ。じゃあこのソーセージの方は?会社のおみやげにいいかもね」
 奥さん「は?こんなものを会社でどうやって食べるの?」
 私「昼休みにみんなでかじれば。。。うーむ。」
こうして見ているとなかなか飽きないのですが、とりあえず今は飲み物を買うことにしました。
 私「おっ、ここにセールの缶ジュースがあるよ。えーと、6.5クローネということは、日本円で、えー、 120円くらいかな、うーん、セールにしては安くないね」
 奥さん「これでセールだとすると、ほんとの値段はいくらなのかな?しかもなんのジュースかよくわからないよ。これ。」
確かに食料品のほとんどは英語での表記がないので、絵などで判断する以外何かよくわかりません。 私たちは結局めずらしいものをということで、よくわからない缶ジュースとよくわからないヨーグルトらしきもの を買いました。失敗でなきゃいいけど。

ついでに郵便局へ

帰りに寄った郵便局
 うまいといいんだが、という期待と不安が入り混じりながら、部屋へ帰ってランチでもしようと道路へ出たとき、 ふと郵便局の看板が目に入りました。
 私「そうだ、ついでに郵便局でも寄って行こう。記念に切手でも買ってこよう」
 奥さん「私もここから友達に絵葉書でもだそう」
ということで、進路変更、郵便局へ。郵便局は空港玄関のすぐ前にあります。
中へ入るとそこは短いカウンター1つのほんとうに小さな郵便局でした。それでもカウンターの隅には切手セットの 見本が何種類も置いてあります。さらにグリーンランドの絵葉書までいろいろとあるので、 「おお、これはちょうどいい」とばかりに、私は切手、奥さんは絵葉書と思い思いにショッピング?です。 選んでいるとどれも欲しくなり困りますが、結局私は2種類の切手セットを、奥さんは5,6枚の絵葉書を買いました。 郵便局をでると、
 奥さん「今の郵便局の人、日本人みたいだったね」
 私「うんうん、思わず「こんにちは」っていいたくなったよ」
などと話しながらホテルへと戻ります。ちなみにその人はもちろん地元のイヌイットの人です。
 部屋へ戻りさっそくランチ。朝食のときお昼にと作っておいたサンドウィッチをメインに、さっきスーパーで買って きたよくわからない飲み物やデザート?がメニューです。サンドウィッチはちょっとしなしなになっていましたが、 腹が減っていたのでおいしい!そしてスーパーで買った飲み物。
 私「うん、どうやら炭酸飲料だね。そんなに変なものでなくてよかった」
 奥さん「私のもオレンジジュースっぽいね。でも果汁100%じゃないな」
 私「ジュースはまあはずれじゃなかったみたいだね、こっちはどうかな」
次はもうひとつのヨーグルトらしきものです。ふたを開いてみるとそれはやはりヨーグルトでした。
 私「おお、ヨーグルトは当たりだけど、まったく甘くないね。これぞプレーンって感じ」
 奥さん「いいんじゃない、ダイエットになって。ちなみに私のはストロベリーヨーグルトみたい。おいしい!」
 私「ええっ、これと交換しない?」