グリーンランド

極寒の地でスイミング

 先日のエンターティメントセンターのジャグジーは見事に空振りでしたが、せっかく水着を日本から 持参したので、一度は使わねばと今日はスポーツ施設内にあると聞いているプールへ行くことにしました。
 そういえばLさんとTさんは今ごろ犬ぞりツアーに参加しているころだなと考えながら、空港&ホテルの 玄関先へ。そこには旧米軍施設側とを結ぶ循環バスが発車待ちをしています。このバス、30分間隔で無料で 運行しているのでとても便利です。私たち夫婦もそのバスに乗り込み旧米軍施設側にあるスポーツ施設へ。 といっても走り出せば2,3分でエンターティメントセンターの付近についてしまいますが。
 バス停はpolar bear innという建物の玄関前にあります。けっこう大きな建物で名前からしても 宿泊施設なのかなと思いながら中へ入ってみました。入ってすぐのところはきれいで整ったカフェテリアの ような感じでしたが、時間帯も悪いのか広い空間内に誰もいません。一休みするには雰囲気のいいところだな と思いながらも、まだ来たばかりで泳いでもいないのでまたあとで来て見ることにして、さっそく向かいの スポーツ施設に向かいます。
 スポーツ施設の入り口はこれまた分厚い鉄扉で、エンターティメントセンターと同じく入りにくそうな入り口です。 14時からと聞いていたのであと少し時間がありますが、また中を探索しなければいけないかもしれないので、 中に入ってみることにします。思い鉄扉を開けると、目の前には管理室があり、右側には大きな体育館、 左側には2階へ続く階段がありました。以外と普通の施設だったのでまずは一安心。管理室の前の椅子に子供たちが 3人座っているので、声をかけてみます。
 私「こんにちは、ここにプールがあるって聞いてきたんだけど」
子供たちはものめずらしそうに目と目を合わせてニコニコしています。
 私「きみたちは英語はわかる?」
と尋ねると、1人の子供が英語で、「少し」 といいます。よかった。私は今度はゆっくりと話しながら聞いてみます。 するとその子供は理解してくれたらしく、裏手にあるから案内すると言ってくれます。私たちはその子供について 体育館の中を通り、裏手のドアを抜けると、ありました。小さいけどけっこう立派なプールです。よかった。 これで水着が役に立つ。

今年の初泳ぎ

プールと管理人さん&子供たち
 プールサイドには管理人らしき人が水温を計ったりしてオープンの準備をしているようです。脇には子供が 何人かいてはしゃいでいます。ちょうど14時を回ったところなので、私たちは連れてきてくれた子供に礼を言って、 今度は管理人らしき人に声をかけます。
 私「こんにちは、プールを利用したいんですけど」
 管理人「ああ、いいよ。じゃあチケット切るからこっちに来てくれるかな」
私たちは再び管理人室に戻り1人15Dkrを支払うと、2階の更衣室へと案内してもらいました。更衣室もと大きく シャワールームも付いています。なかなかいい施設だなと思いながら着替えていると、小さな子供たちがものめずらしげに キャッキャッとはしゃぎながら、のぞきにきます。「こんにちは」と声をかけると、やはりキャッキャッ騒ぎながら 走って逃げて行きますが、またすぐにやって来たりします。どこの国でも子供たちは元気がいいなと思いながら下へ降ります。
 おお、やっとプールに入れる。さっそく一泳ぎです。ちなみにこのプールはけっして広くはないですが、一方の端は 水深が2mもあり完全に水没する深さです。私と奥さんがプールで楽しんでいると、さっきの管理人さんと子供たちが やってきてビーチチェアに腰を下ろしながら話しかけてきました。
 管理人「きみたちはどこから来たの?」
 私「日本からだよ」
 管理人「へえ、日本か。最近はKangerlussuaqでも時々日本人を見かけるようになったよ。グリーンランドの他の町 には行ったかい?」
 私「Ilulissatへ行ったよ」
 管理人「あそこは大きな町だよ。Sisimiutへは行かないのかい?」
 私「今回は予定にはないけど、なにかあるの?」
 管理人「俺の生まれた町さ」
といった具合で後半はプールで泳ぐよりも雑談になってしまいました。帰りがけに管理人さんの娘さん(中学生くらい と思われる)に、
 娘さん「こんにちは、お名前は?」
と声をかけられ、
 私「。。。です。きみは?」
 娘さん「アンナータカ。。」
 私「アンナータカ。。いい名前だね。よろしくね」
ちょっと難しい名前だけど、ニコニコして感じのいい子だなと思いながらスポーツ施設を後にしました。

旧米軍施設周辺の散策

 水遊びをしてさっぱりしたあと、せっかく来たのだから周辺の散策をしようということになりました。 外はかなり寒いせいか(人自体もすくない。。)歩いている人は誰もいませんが、プールでリフレッシュした 私たちは元気に凍結した路面を踏みしめて歩きます。
 まずはTさんから聞いたエンターティメントセンターの裏にある建設中の氷のホテルを見に行きます。 行って見るとまさに発電機の音が唸りながらの工事中です。近くで作業している人に声をかけ、中をのぞかせて もらいます。
建設中の氷のホテル
 奥さん「外はすごく寒いのに、ここは以外と暖かいね」
 私「そうだね。イヌイットの世界でいうイグルーってやつかな」
 奥さん「1日くらいだったら泊まってみるとおもしろそうだね」
それにしてもあと数日でオープンと聞いたのに、内部はガランとしていて唯一大きな氷の台(ベッド?)が 作られているのみです。だいじょうぶかな?
 次に氷のホテルから見える馬舎の横を通り、寒そうに立っている馬を写しながら教会へと向かいます。 トムさんから横の扉から中に入れるよと聞いていたので、入ろうとしましたが鍵がかかっているらしく開きません。 念のため正面の扉を押してみると、開いたので中へ入ってみることにしました。中は誰もいなくて電気もついて いませんが、薄闇を通してみる内部はこの地にあってはけっこう立派なものです。
 再び静かに教会の扉を開けて外へ出ると、あたりはけっこう暗くなっていることに今更ながら気づきました。
 私「うわっ、いつのまにかけっこう暗くなったね」
 奥さん「きっとあと30分もすれば、真っ暗になっちゃうんだろうね」
 私「そろそろ帰って、カフェテリアで夕飯でも食べようか」
 奥さん「えーっ、プールの前に食べたばかりじゃない。よく腹に入るね」
 私「いや、一泳ぎしたら腹減ったから」
 奥さん「。。。」

困ったおみやげ

 いよいよ楽しいグリーンランドを去らなければならない日がやってきました。私たちは今日の午後の便でグリーンランド を後にし、コペンハーゲンに戻ります。でもその前に、おみやげでも買おうということになり、 午前中、空港ロビーにあるKangerlussuaq唯一?のお土産屋さんで買い物です。売ってるものはイヌイットをかたどった 置物や、アザラシの牙、ホッキョクグマの爪で出来たアクセサリーなど、いかにもグリーンランドらしい土産物があります。 しかし。。。どれも、すごく高い!これらはみな安くても1万円以上します。
 私「うーん、欲しいけど、これはちょっとホイホイ買える値段じゃないね」
と奥さんに声をかけると、
 奥さん「ねえ、見て見て。このホッキョクグマのネックレスいいね」
どれどれとそれを見ると値札には550という数字が。ということは約11000円。げっ、けっこう高い。などと私が密かに 計算しているうちに、奥さんはさっさと店の人にいって商品を出してもらい、それを首にあてがったりして店の人と2人で にこやかに納得している様子。なんとなくこの場に居るとそのまま流れでそれを買わされそうな気がして、
 私「ちょっと、向こうで友達へのみやげ見てくるから」
といってその場を離れました。ふう、あぶない。でも本当に友達へのみやげも考えないとな、1人に1万円以上もする 置物なんか配れないからな、などと思いを巡らし、らしさのある小物を探します。でもそれらはキーホルダーやバッジなど、 定番のものがほとんどで今一つ求めているものが見つかりません。困った。こういうときはせめて役に立つものにしよう。 それからあとでスーパーに行って変わった食品でも買おう。
 ようやく決断して奥さんの方を見ると、まだ先ほどのアクセサリー売り場で何種類かのアクセサリーを手にして 店の人とにこやかに話をしています。まったくその場を離れる様子もないので、しかたなくそこへ戻りちょっと スーパーへ行こうと誘いをかけようとしたら、先手を打たれて、
 奥さん「ねえねえ、これとこれ、どっちがいいと思う?」
 私「えっ、あー、そうだね。こっちのほうがいいんじゃない」
 奥さん「やっぱり。私もそんな気がするんだ。こっちにしようかな」
 店の人「とてもお似合いですよ」
 奥さん「うん、じゃあこれに決めた!ねえ、これ買ってェ」
うっ、ついにきた!奥さんと店の人の視線が私に集中し、今か今かと返答を待っている。
 私「いくら?」
 店の人「550クローネです。ありがとうございます」
 奥さん「ありがとう!うれしい」
うーん。弱い。まあいいか。いい記念になれば。

さらばグリーンランド

 お土産探しも落着いて、あとは飛行機に乗り込むのを待つばかりです。でもまだ時間があります。 Tさんをはじめ、私たちのメンバーはみな、空港ロビーに集まっていました。Mさんは免税店でベイリーズを購入しています。
 Mさん「私、これ大好きなんだ。牛乳で割って飲むと最高。だから帰りにはこれ買っていこうって決めてたんだ」
 私たち「ああ、これ、おいしいよね。私も大好き」
Lさんは余っている時間を最後の周辺散策に当てるのか、外へと出かけて行きました。残った私たちはロビーで雑談です。 Tさんが昨日参加した犬ぞりの話をしてくれています。
 Tさん「いやー、楽しかったですよ。イヌイットの人が着るような毛皮の服を着て、氷の上をそりで走るんです。 Lさんが先にどんどんいっちゃうから追いかけるのがたいへんでしたよ」
 私たち「へぇー、おもしろそう。参加すればよかったかな」
 Tさん「ええ、あの防寒着を着てみるだけでも、いい記念になると思いますよ。そうだ。トムさんに言って防寒着だけでも 着せてもらえないか頼んでみましょうか」
 私たち「ええ。ぜひ!」
というわけで、Tさん、さっそくGreenland Tourismの事務所へ行き防寒着を借りてきてくれました。まずは奥さんが着てみます。
 奥さん「うわぁ、あったかい。いいなあ、これ」
 私たち「うん、けっこう様になってるじゃない。よし、外で記念写真撮ろう」
みんなで玄関の外へ出て記念撮影です。
 私たち「うん、この格好はやはり雪景色が似合うね」
パチリ。次はMさんが試着して同様に写真撮影です。パチリ。で、私はといえば残念ながら体が大きすぎるのか、防寒着が 小さいのか着れませんでした。うーん。残念。
 そんな感じで過ごしているうちに、いよいよ搭乗の時間がやってきました。Lさんも戻ってきていて、みんな揃って今日まで たいへんお世話になったトムさんにお別れの挨拶です。
 私たち「トムさん、いろいろとありがとう。また来るからね」
 トムさん「ああ、また会えるのを楽しみにしてるよ。元気でね」
 私たち「うん。それじゃ、さようなら」
思い出のグリーンランド
その後、みんな揃ってセキュリティチェックを抜けると、滑走路にはここへ来るときに乗ってきたのと同じ スカンジナビア航空の機体が私たちの搭乗を待っています。私は楽しかった数日間を思い出しながら、もう一度振り かえって辺りを見まわしました。
 私(心の中で)「なんて素晴らしいところだ。また絶対来よう。やり残したことは、次回来た時にすればいいや。 今度は夏がいいかな。そうだ、帰ったらSilverさんにメールしなきゃ。今度はIlulissatを。。。」
と早くも、次回の計画を頭で練りながら、タラップをゆっくりと上って行きました。