グリーンランド

魅惑のグリーンランドへ

機内からのグリーンランドの風景
 いよいよやってきました!Kangerlussuaq上空にさしかかると、飛行機の窓から凍てついた大地が見えます。
 奥さん「うわぁ、陸地が見える。すごいところだね。」
 私「おおっ、これがグリーンランドか。予想通りのすばらしい所だね。」
などと感激していると、私たちだけでなく他の乗客もみな、(多分)同じようなことをつぶやきながら、 窓の外を見ています。この飛行機の乗客はツーリストが多いのかな。
 やがて飛行機はKangerlussuaq空港に到着。荷物を抱え機外に出ると、まるで冷凍庫のような刺すような空気が 体にまとわりつきます。うん。これこれ。この冷たさがなくちゃグリーンランドに来た感じがしない、などと1人 笑みを浮かべながらタラップを降りる私。後ろでは奥さんが「うーっ、寒い。寒い。」と騒いでいます。
 空港ビルのロビーに入るとGreenland Tourismのトムさんが私たちを迎えてくれました。トムさんは私たちの グリーンランド滞在中、いろんなエクスカーションでお世話をしてくれる人です。トムさん、どうぞよろしく。
 とりあえずはホテルのチェックインです。フロントは空港到着ロビーのすぐ横にあり、そしてその奥にはカフェテリア とレストランがあります。さっそくガイドのTさんが全員分のチェックインをしてくれています。いやあ、つくづく ありがたいなあなどと思いながら、私たちは窓際で周囲の目新しいワイルドな風景にくぎ付けです。
 しばらく私たちが見とれていると、Tさんが部屋の鍵をそれぞれに渡してくれて一通り説明してくれました。
 Tさん「。。。で、朝食券は前日に毎日フロントに取りに行ってください」
 私たち「滞在日数分まとめてはもらえないんですか」
 Tさん「以前はそうだったんですけど、システムが変わったようでちょっと面倒になりましたね」
 私たち「ほんとに。。。」
部屋へ入ると、思った以上にきれいで広くて、観測基地の個人部屋を想像していた私たちにとってはちょっと驚きでした。 部屋に荷物を置いて一息ついた後再びロビーへ。私たちはTさんと待ち合わせて、滞在中の疑問点を聞いたり、 参加したいエクスカーションを選ぶことになっています。
 そこで私が旧米軍施設にあるジャグジーに行きたいんだけどという話を持ち出すと、Tさんもあまりよく知らない様子で、 トムさんに聞いてみましょうということになりました。そしてGreenland Tourismのオフィスに行きトムさんに聞いてみると、
 トムさん「ああ、エンターティメントセンターにあるやつね。2時から利用できるはずだよ」
そこで時計をみると1時少し前、よし、今日はこの後予定もないし一つ行ってみるか。
 私たち「米軍施設側へはどうやって行けばいいの?」
 トムさん「ホテル前からバスがあるけど、ちょうど1時に予約のお客さんを向こうのミュージアムに案内するんだ。 本来冬は休業するんだけど今日は特別予約が入っててね。よかったらいっしょに行くかい」
 私たち「おお、そりゃもうぜひ!」
ということで、私たち夫婦とMさんの3人はさっそくKangerlussuaq Museumへ行くことになりました。

Museumから旧米軍施設へ

 Kangerlussuaq Museumはホテルとは滑走路を挟んで反対側の旧米軍施設から少し滑走路寄りにありました。 まあどっちにしても車で行けば2,3分のところです。
Museumから旧米軍施設への道
 中へ入ると先の車で到着していた予約客なる人たちが何人か見学していました。入り口を入ってすぐ左横には大きな グリーンランドの地図が展示してあり、トムさんがグリーンランドについていろいろと説明をしてくれました。 その後奥へ行くと旧米軍時代に使用されていた機器類や備品、日用品、さらには勲章や階級章にいたるまで、 いろいろなものが展示されています。また当時の様子を写したたくさんの写真も壁一面に展示してあり、旧米軍資料館 といった感じです。
 それらを一通り見学したあと、私たちはトムさんにお礼を言ってMuseumを後にしました。 Museumから旧米軍施設は何もない一本道で見える距離なので、私たちは散歩ついでに歩いて行くことにします。
 ところが近いからと甘く見てフラフラ歩き出したのはいいけど、回りに何もない吹きさらしの道で、強風が吹いていたため、 凍てついた空気が私たちを絶え間なく襲い、手や耳はじんじん痛み、目は涙でしみて開けられなくなり、鼻水はでるし。。。 散々です。Mさんは水着を持ってきていなかったため途中で分かれ、私たちはやっとのことでエンターティメントセンター の前にたどり着きました。

怪しいエンターティメントセンター

エンターティンメントセンター
 寒いせいもあってか、エンターティメントセンターの外には人影はまったくありません。建物の上に出ている看板に したがって、入り口と思われる方向に歩いて行くと、大きな2重の鉄扉のあるそれらしきところがありました。 しかしどう見ても裏口っぽく、いかにも入りにくそうなところです。
 私「ほんとにここが入り口?なんか怪しくない?」
 奥さん「他にも入り口があるんじゃない」
 私「うん、一応一周してみよう」
ということで建物の周りを一周歩いてみます。反対側にも入り口らしきところがあるのですが、やはり鉄の扉を 押したり引いたりしてみても、こちらは鍵がかかっているようで開きません。結局中に入れそうなところは最初の 怪しい入り口のみということがわかりました。
 私「やっぱりここしかなさそうだね。とにかく入ってみようか」
 奥さん「そうだね。中には人もいるだろうし」
重そうな鉄扉を開けて中に入ってみると、そこはとても狭くて薄暗く目の前には何かの飲み物のケースが山積みに されていて、左奥には別の鉄扉があり、右側には狭い階段があります。まるで倉庫の裏口だなと思いながら、 左奥の鉄扉をよくみるとCAFEと書かれた文字が読み取れます。
 私「ここはカフェのようだ」
 奥さん「カフェは確か5時からだよね」
 私「うん。でもどうやらジャグジーもここでいいみたいだね」
 奥さん「それにしてもとても店には見えないね」
 私「旧米軍施設をそのまま使っているから、こんなもんかもね。とにかく上に行ってみよう」
と、まるで私たちは探検気分です。階段を上がるとそこはいかにも基地らしい雰囲気で何の飾り気もなく、 狭い通路には通行も困難なほど無造作に荷物が置かれていて、反対側にはユニット式のトイレとシャワールームが 並んでいました。通路の両側はどうもオフィスと倉庫のようです。どこからかかすかにラジオの音声が聞こえてきます。
 荷物をかき分け通路の奥に歩いていくと、ちょうど横の扉が開き、中から人が出てきました。
 私「あっ、すみません。ここにジャグジーがあると聞いてきたんですが」
 出てきた人「ジャグジー?」
 私「外の看板にスパバーデって書いてあるやつです」
 出てきた人「ああ、スパね。確かにあるんだけど、今壊れてて使えないんだよ。機材と修理人のめどが立たないので、 いつ直るかもちょっと未定なんだ」
 私「そうなんですか」
 出てきた人「でも、下のカフェはやってるよ。5時からだからよかったらどうぞ」
 私「あ、どうも」
ということであえなく探検は終了。ジャグジーは残念ながら入れませんでした。私たちはバスの便が目の前にあるにも かかわらず、初めての土地に対する好奇心の方が勝ったようで、写真を撮りながら凍てついた道を歩いて ホテルまで引き返しました。

カフェテリアでの夕食

 部屋で少し休んだあと、私たちは6時にガイドのTさんと下のカフェテリアで待ち合わせをしていたので、 少し前に降りていきました(私たちの部屋は2階です)。Mさんは自炊道具を持ってきていたので、今日は3人で 食事でもしましょうということになったのです。
 下へ行くとTさんはもうお待ちで、厨房の前に表示されたメニューについて1つづつ解説してくれます。 おかげでどれがどんな料理かほとんどすべてわかり大変助かりました。そこで私はデンマークの代表的な家庭料理と されるFrikadellerというハンバーグ料理を注文しました。味はほんとに豚ハンバーグ系の味でしたが、 とにかくそのボリュームには圧倒されました。うちの奥さんはHalibutの料理、TさんはShrimpの料理を注文しましたが、 ボリュームはどれも変わらずです。そんなことを何も知らない私は、さらにオープンサンドも注文。 どれも味見をしたくて奥さんやTさんの分も少し頂きながら、それでも全部たいらげようと努力しましたが、 食には自信あるつもりでもさすがに途中でgive upです。
 夕食自体はとても楽しく、TさんのAasiaatでの生活の話や、デンマーク人から見た日本の印象の話などで、 3時間近くも盛り上がってしまいました。以前Aasiaatがまだヘリコプターの便しかなかった時代には、 KangerlussuaqやIlulissatで1日単位の遅れもしばしばあったそうで大変だったそうです。お疲れ様でした。

オーロラ現る

 冬のグリーンランドでは旅の楽しみの1つにオーロラ鑑賞があります。もちろん私たちも今回の旅の一番の目的でもあるので 夜遅くなっても寝るのを惜しんで冬の夜空を見つめます。オーロラは晴れていないと見えませんが、Kangerlussuaqは 世界有数の晴天率を誇る場所なので、観測できる可能性は大です。その夜も晴天であったため、私たちはオーロラ観測に励みました。
 奥さん「今日はオーロラ出るかな」
 私「晴れてるから期待できそうだね」
 奥さん「あれ、違うかな。ほらあそこのちょっと白くなっている部分」
 私「あれは、違うんじゃない。多分雲だよ」
などと言いながらホテルの部屋の窓越しに観測です。部屋の窓からは空港の滑走路が眺められますが、夜は滑走路も ほとんどの灯りを消してしまうので、かなり暗くなります。なので部屋を暗くすればそれなりにオーロラを見ることができます。 もちろん外のより暗いところで見たほうがはっきりときれいに見れますが。。。
 Hotel Kangerlussuaqは裏口が24時間出入り自由になっているので、時折外に出ては確認したりしていると、 空を横断するように真上にうっすらと白い線が見て取れるようになりました。やがてその線はしだいに濃くなり、 よく見るとじわじわとうごめくように光っているようです。これは紛れもなくオーロラです。
 私「ほら、真上。あれはオーロラだよ。さっそく現れたね」
 奥さん「うわぁ、すごいね。きれいだね。初日で見れるなんて私たち、日頃の行いがいいんだね」
 私「そうだね。この分だとまだ何日かは見れそうだね」
なんてつぶやきながら、顔は上を向いたままです。結局その日は、私たちが見ている間はそれ以上発達はせず、 パンフレット写真にあるようなすごくきれいなオーロラとまではいきませんでしたが、奥さんにとっては初めてのオーロラで 感慨覚めやらずといった感じでした。