アラスカ

朝のフェアバンクス散策

極寒のフェアバンクス散策
 昨夜は結局、ネナナのオールドアメリカンなバーで救援バスを待つ間に、バーガーとビールで空腹を満たし、 ホテルへ着いたのが夜中の1時近く、シャワーを浴びて寝酒に一杯やって寝たのが2時頃というのにもかかわらず、 翌日は7時には起きて朝食を食べに行きます。
 私「昨日はどうなるかと思ったけど、貴重な体験だったなぁ。バーガーもうまかったし」
 T氏「確かにあれは計画的には出来ないからね。あんな雰囲気のあるバーも行くことないだろうし」
 私「だよね。ムースはちょっとかわいそうだったけど」
などと、昨夜の体験を振り返りながら、アメリカンなブレックファーストで腹を満たします。
 私「で、今日はどうする?昨日街歩きできなかったから今から散歩ってのはどうだろ?」
 T氏「うん、そうだな。今日はチェナだから、そんなに慌てていかなくてもいいし」
というわけで、朝飯も早々にジャケットを着込んでホテルを飛び出しました。しかし、さ、寒い。 フェアバンクスもかなり冷え込んでいるようです。街中の電光掲示板には-30℃と出ています。息をすると 鼻がパリパリとくっつくような感覚があります。しかもようやく薄明るくなってきたという感じで、 もちろん店はまだ始まっていないし人通りもまばらです。私たちはそれでも町を一回りしてみようと、地図を片手に 歩き回りました。途中ビジターセンターを見つけましたが、当然まだ開いていないので資料集めは出来ません。 とりあえず写真だけはと、シャッターを押して回っていると、ようやく1軒だけ開いているカフェを見つけました。
 私「あ、ここはやってるね。めちゃ冷えるし、温かいコーヒーでも飲んでいこうか」
 T氏「うん、かなりローカルな雰囲気の店でいい感じだね。行こう」
というわけで、私たちは唯一見つけたオープンしているカフェに入りました。中では地元の人が4,5人集まって 何か飲み物を飲んでいましたが、私たちが入るとみんな一斉にこちらを注目。私たちはちょっと緊張して思わず、 「ハ、ハロー!」。そういうと地元の人は軽く会釈をしてまた元の状態に戻りました。なんとも寡黙そうな人たちだな! と思いながらも、ともかく熱いコーヒーにありつけて満足です。 さあ、午後は楽しみにしていた温泉リゾート、チェナ・ホットスプリングスへ向かいます。

チェナへ

チェナへ向かう途中の雑貨屋件カフェ
 ホテルのロビーで手配したタクシーを待っていると、2人の日本人旅行者がやってきました。同年代の個人旅行者のようで、 お互いに自然に会話が始まります。
 私たち「・・・じゃあ昨日のアラスカ鉄道から一緒だったんですね」
 旅人「そうですね。多分今からチェナに行っても何人かは見知った人に会うんじゃないかなぁ」
 私たち「確かにここに来てチェナは外せないですからね。ところでこれからどうやってチェナに行きます?」
 旅人「うん、タクシーでも捕まえて行こうかと思ってます」
 私たち「それじゃあ、もしよかったらいっしょに行きませんか。我々は今手配したタクシーを待ってるところなんで」
というわけで、私たちは揃ってチェナへと向かうことになりました。その人たちはMさんとKさんといい、チェナへは オーロラ撮影が目的だそうで、大きなカメラ機材を抱えてのご旅行です。
 チェナへはひたすら森の中の道を走りますが、途中1軒だけ雑貨屋件、カフェがあります。私たちもそこで休憩をとります。 店の中はこの大森林地帯で暮らす人たちのために、いろいろなものが売っています。私もそこでアラスカの詳しい地図を見つけ 購入しました。一通りショッピングが済んだらカフェで一休みです。カフェといっても雑貨店の片隅に2,3のテーブルが 置かれているだけのもので、小さなショーケースには特大のケーキが2,3並べられています。 甘いものも好きな私はさっそくその1つを食べてみることにしました。
 私「うっ、あ、あまい!」
それは日本で食べるケーキとは格段に違う甘さで、しかも特大サイズです。いくら甘いものが好きといってもこの甘さは。。。 と、その様子が伝わったのか、周りにいた地元の人は、薄笑いを浮かべてこちらを眺めています。
 彼らはこの甘さを知っているのか?アメリカではこれが普通なのか?それにしてもでかい。これを全部食べきるのはつらいぞ。 周囲の人の目もやはり無理だろうと訴えている気がして、このまま根を上げるのもしゃくだなと思い、意地でも全部食べてやるぞと、 変なところで一人意地になって水で流し込んでいました。しかしこの甘くてでかいケーキはほんとに地元の人が食べるのか?

ショック!温泉が。。。

 チェナ温泉にはロッジ風の建物がいくつも建っていて、メインロッジにはフロントやバー、レストランなどがあり、 他所々に客室用のロッジが建っています。1つのロッジには客室が3,4つあり、私たちと同乗してきたMさんとKさんとは 一緒のロッジになりました。
 私たち「同じロッジでしたね。あとでバーで一杯やりませんか」
 Mさん、Kさん「ええ、そうしましょう」
ということで、Mさんたちとはいったん別れて、私たちはここでの大きな目的の一つ、温泉をのぞいてみることにします。 温泉とはいっても日本のそれとは違って屋内プールになっています。
 いや、なっているはずだったのですが、行ってみるとなんと現在改装中とのこと。すなわち温泉は使用不可です。 えーっ!これを楽しみにしてきたのにー。しかし改装中ではどうすることもできません。肩を落としながら部屋に引き返します。
 私「いやぁ、まいったな。温泉、かなり楽しみだったのに。こうとわかっていたら別な日程も考えたのになぁ」
 T氏「いやほんと、せっかく水着も用意してきたのに」
T氏も同じく温泉好きなので、二人ともかなりショックです。 しかし夕食になると、そんな気分はかなり和らぎました。ボリュームがあり、おいしくて、スタッフの人も親切で、 アルコールも入りけっこう上機嫌です。夕食後は隣のカウンターバーで一杯です。
 私「(メニューを見ながら)うーん。まずはビールでも飲もう。このサミュエル・アダムスっていうのにしてみようかな」
 T氏「なにそれ、そんなのあるんだ。じゃあまずはおれもそれにしようかな」
2人とも知らない銘柄のビールを注文して一杯やっていると、MさんとKさんがもう1人の日本人旅行者とやってきました。 そのもう1人の日本人旅行者はOさんというやはり同年代の個人旅行者で、私たちはテーブル席へ移動して、 5人でアラスカの旅の話に花が咲きます。さあ、楽しい酒宴の始まりだ!

オーロラ現る!

現れたオーロラ(コンデジなので残念)
 その夜は遅くまでみんなでバーで飲んでいました。眠くなっても部屋には帰りません。目的は1つ。オーロラです。 バーにはチェナで働く人なのか、それとも付近に住む人なのか、とにかく地元のおじさんが2,3人やってきて、 私たちに話し掛けてきました。
 おじさん「・・・というわけで、おれはこの酒が大好きなんだ。こいつはうまいぞ。君らも一杯やってみるといい」
 私たち「その酒は何ていうの?」
 おじさん「これか?これは、グランマニエっていうんだ。どうだ、ちょっと味見してみるか?」
 私たち「(出された酒を飲みながら)うん、確かに甘くてうまいね。がんがんいけそう!」
という感じで、大勢でかなり盛り上がっていました。と、そこへ外から入ってきた別のおじさんが、ノーザンライツといいながら、 私たちに外へ出てみるようにゼスチャーしています。ノーザンライツとはすなわちオーロラのことです。
 私たち「えっ?現れたの?ほんとに?」
といいながら、私たちは先を争って外へ飛び出しました。するとそこには...見えました。 揺れ動くカーテンのような青白く光った光の帯が、頭上のいたるところで揺れていました。それはまるで生き物のようにスッと 消えたかと思うと、再びまたスッと現れたりして、常にゆらゆらと動いています。
 私たち「うおぉー、すごい!すごい!これがオーロラか」
 私たち「あの、丘のあたりまで行ってみないか。あそこならもっとよく見えそうだ」
私たち5人は半ば小走り気味に急いですぐ近くのちょっとした丘へ向かいました。そこからは上空がよく見渡せ、 全体に広がるオーロラもとてもよく眺められます。
 私たち「こりゃ、すごい!」
MさんとKさんはさっそくカメラ機材を準備して撮影に取り掛かり、Oさんはその場に仰向けに寝そべって上空を眺め、 私たちは言葉もなくその場に立ち尽くして見入っていました。

スノースポーツ三昧

犬ぞりの風景
 前日はオーロラ見物で夜遅くまで粘っていたので翌朝起きたのは10時過ぎ。眠い目をこすりながら遅い朝食を取りに メインロッジへ出向きました。朝食のパンを食べながら、
 T氏「今晩もオーロラがんばるんだよね?」
 私「もちろん!でもその前にこれから何しよう?」
 T氏「いろいろアトラクションがあったな。でもまずは犬ぞりでしょ」
 私「うん、犬ぞりは外せないよな。そのあとクロカンもやりたいね」
 T氏「まあ、一通りやろうか」
というわけでまず犬ぞりにチャレンジすることにしました。一人ずつそりに座り込み、マッシャーといわれる犬ぞり操者が、 後ろで巧みにたずなを操りながら、森の中を走り回ります。最初は気持ちよかったけど、なにしろ氷点下20度を下回る中、 風を切って勢いよく走っているので、足の先や顔がじんじん冷えて痛くなってきました。うーっ、冷える。 こんなんじゃ長時間走れないな。犬たちはすごいな、と思いながら終わった後犬小屋を覗きに行くと、1匹の犬が尻尾を 振りながら飛びついてきました。かわいいやつだ。
 次はクロスカントリーに挑戦。クロスカントリーはやったことがなかったのでちょっと楽しみです。最初基本的な歩き方 などを教えてもらって、参加者全員で軽く慣らした後、各自周辺の簡単なコースを歩きました。やってみるとこれが以外 と難しい。というより体力の消耗が激しい。まあ私が慣れてなくて余計なところに力入れてるんでしょうが。。。 おかげで身体が暑くなり、汗が出て、着ていたダウンを脱いでしまいました。
 夕方になって今度は馬ぞりに乗って見ました。こちらは馬車みたいなもので、ゆっくり走るので寒くもなく、星空の下を ライトを照らしながら走るのはとても気持ちいいです。
 御者「どうだい?楽しいかい?」
 私「うん、まさにサンタクロースのような気分だ!」

オーロラ再び

 そして今夜もまたオーロラ鑑賞。しかしその前に寒い戸外での鑑賞に耐えるべく、腹を満たさなければなりません。 今日のディナーは何にしようかなとメニューを見ていると、Reindeerという文字が目に止まります。 ん?これはトナカイではないか。どんな味なんだろう。よし、これで今日のディナーは決まりだ。 出てきたトナカイの肉はけっこうボリュームがあります。
 T氏「どう?どんな感じ?」
 私「 うーん。ちょっと癖があるがまあいけるかな。ちょっと食べてみる?」
 T氏「どれどれ」
T氏は私がトナカイを頼むというので、牛のステーキを注文しました。T氏のビーフステーキもかなりのボリュームで 大味ですがいけます。それにしてもアラスカの食事はボリュームがあって、量に関してはまったく私たちに合っています。 日本では1人前の量が少なくて、1人で2食分を注文したりすることもあった私たちでしたが、ここでは十分1人前で足ります。 すばらしいぞ、アラスカ。
 夕食後、また例によって隣のバーで一杯やりながら、オーロラを待ちます。Mさん、Kさん、Oさんの3人もやってきて、 またしても5人でテーブルを囲んでの酒宴です。
 5人「今日はオーロラどうですかね。昨日あんなにきれいなのが見えたからなぁ」
 5人「いや、今日も晴れてるから可能性は十分あるんじゃないすか」
 5人「さっき外を見たら、ごく薄いのは出てましたよ」
 5人「えっ、ほんと。雲じゃないですよね」
 5人「たぶん」
と、酒を飲み雑談をしながら、そして時々外へ出て確認しながら、オーロラを待ちます。しかしその日はなかなか現れず、 しだいにバーの閉店時間が迫ってきました。
 5人「うーん。出そうで出ないなあ。しかたない。この後は部屋へ戻ってがんばりますか」
などと相談していたそのとき、また外から入ってきた人が「明るいのが出てるよ」と教えてくれました。 それを聞いて外へ飛び出してみると、昨日に負けない明るいオーロラが頭上で揺れています。しかも昨日の青白いものに加えて、 赤いものも現れています。素晴らしい!(地元の人の話によると、赤いオーロラが見れるのはとても運がいいとのこと)