乗り遅れギリギリ -リスボン-
  アゾレス諸島とリスボンの街を旅してきた私たち夫婦は、旅も終わりに近づき帰途に着くためリスボンの空港に やってきました。空港でのショッピングを楽しむため、出発の2時間ほど前にやってきた私たちは、予想より小さな ショッピングゾーンにちょっと落胆しながらも、一通り店を見て周り最後のお土産探しを楽しんだ後、自分たちの乗る 飛行機を確かめるため掲示板に目を止めました。
 私「えーと、AF1925便パリ行きは。。。げっ、またDELAYだよ。エールフランスって定刻どおり出発することって あるのかなぁ」
 (実は私たちは行きの日本からのAF便も大幅に遅れて、リスボンへの乗り継ぎの関係でルフトハンザ機に変更に なっていたのでした。)
 AF1925便は18:30発のパリ行きなのですが、30分遅れて19:00になっています。まあ、30分遅れなら特に問題はない のですが、もはやすることもなく時間を持て余し状態です。しかたなくチェックインをして座って待つことにしました。
 エールフランスのカウンターで、スタッフが搭乗券に印刷された搭乗ゲートと搭乗時間をボールペンで消し、 搭乗時間を6pmと書き直して、「搭乗ゲートはまだ決まってないけど、まもなく掲示板に表示されるからそれを見て」 というようなことを言って搭乗券を渡してくれました。搭乗時間が決まっているならこれ以上遅れることもないだろと 思いながら安心して掲示板の見える椅子に座って待ちます。
 ところが、搭乗ゲートはいつまでたっても表示されません。まだかまだかと待っているうちに時間は搭乗時間の6pmに なってしまいました。いったいどうしたんだろう?もう一回聞きに行こうかと思っていたそのとき、掲示板に1925便の DERAY表示が更新され、20:00に。
 私「げっ、いきなりまた1時間も遅れが増えたよ。まいったな。パリでの乗り継ぎは大丈夫かな」
 奥さん「行きのこともあるから聞いた方がいいんじゃない」
ということで再びカウンターへ行き聞いてみます。
 私「1925便は遅れているようだけど、パリからの日本への乗り継ぎ便は大丈夫ですか」
 スタッフ「現在パリが悪天候で日本便も遅れる見込みなので大丈夫ですよ」
ということでちょっと心もとないけど、まあそれならいいかと一応納得して再び椅子に座って待ちます。 それからしばらく待つこと数十分。ようやく1925便にゲートが表示されました。おっ、やっと表示された。 という安堵感で思わず笑みがこぼれながらも、さっそく急ぎ足でゲートへ向かいます。
 ところが、ゲートへ着いて搭乗口の掲示板を見ると、なんと1925便は20:45になっています。安心したのもつかの間、
 私「げっ、どうなってんの?また45分も増えてるよ。もういいや。あとのことは着いてから考えよう」
と半ば開き直り状態で、小さなカウンターバーに座って一杯やることにしました。時刻はまだ7時前、搭乗するまでには まだかなり時間があります。
 奥さん「この旅行は行きも帰りも飛行機は当たりだね」
 私「ほんとだね。しかも理由が同じパリの悪天候だって。パリってそんなに毎日天気が荒れてんのかね」
などとぼやきながら一杯やっていると、空港のアナウンスが耳に止まりました。
 「パッセンジャーズ、(名前)。16番。。へお急ぎ。。さい」
ん?今、アナウンスで自分の名前を呼ばれたような気が。。。
 私「あれ、今我々の名前を呼ばなかった?気のせいかな?」
 奥さん「あっ、やっぱりそう思った?なんかそれっぽかったよね」
うーん。気になる。しかも内容が急いでどこかへ行けというようなものだったような。なんかいやな予感が。。。 どうしようか?などといろいろ考えていると再びアナウンスが。
 「パッセンジャーズ、(名前)。16番ゲートへお急ぎください」
えっ!えっ!若干名前が変だったけどこれはたぶん間違いなく我々だ。いったい何事だ!
 私「今聞いたよね。あれ、我々のことだよね」
 奥さん「そうみたい。急いで来いって言ってるよ。どうしよう」
 私「うーん。16番ゲートって言ってたな。なんかやばそうだからとにかく行ってみよう」
それからの私たちは、まだ飲みかけの飲み物をそこに残して、大急ぎで16番ゲートへと向かいました。 案内板を頼りにザックを担いで小走り気味にゲートへと急ぎます。
 私「いったい16番ゲートってどこにあるんだ。えらく遠いな」
とぼやきながら息を荒げて走っていると、前方で空港スタッフが私たちを手招きして呼んでいるように見えます。 行ってみるとやはりそこは16番ゲートでした。
 スタッフ「君たちが(名前)か?」
 私たち「そうだけど。。。」
 スタッフ「よかった。間に合って。さあ搭乗券を出して。。。よし。さあ、乗って」
 私たち「えっ!ちょっと!これ、パリ行き?」
 スタッフ「ああ、もちろん」
と、何が何やら状況がよくわからないまま後押しされて機内に案内されて、乗員乗客ともすっかり離陸のスタンバイが 整った中、注目を浴びながら最後の2席に座ります。これはいったいどういうこと?1925便は確かに20:45分発と 掲示板に出てたしゲートも違う。どうなってんだ?わけが分からず完全に混乱したままもう一度搭乗券の半券を見ます。 と、そこには。。。AF1325。えっー!どうなってんだ。すかさず航空券の控えを見ると確かにAF1925と書いてあります。 飛行機が違うじゃないか!すかさずアテンダントに聞いてみると、やはり乗っているのは1325便とのこと。
 どうやら私たちは行きに続いてまたしても飛行機を振替えられたようです。 後で考えてみると、おそらく1925便ではパリでの乗り継ぎが危ぶまれるため、それより早い1325便に変更してくれた のでしょう。それをチェックインのときに説明されたのかもしれませんが、私たちの語学力不足で聞き逃したのかも しれません。さらに悪いことに1925と1325では数字がよく似ている上、1925と思い込んでいたので搭乗券に記載されて いる便名に最後まで気づかずにいました。
 ちなみに1325便も5時間遅れだったようで、その遅れに私たちがさらに拍車をかけたのかもしれません。 しかしおかげさまで日本への帰国便には無事間に合いました。日本便も当然ながらかなり遅れていましたが。。。