大晦日の酔っぱらい -ウィーン-
それは友人と二人でヨーロッパを旅していた時、大晦日の夜のウィーンで起こった、ちょっとこのやろう!的な出来事です。
私たちは大晦日の夜を盛り上がろうと、カウントダウンの前に食事もかねて、近郊グリンツィングにある酒場
(ホイリゲ)で一杯やっていました。満席のホイリゲは明るい音楽と楽しい語らいで、ついつい酒が進み、
友人は250ml入りデキャンタワインを5本も空け、すっかりハイテンションです。もちろん私も友人ほどではないにしても
かなりいい気分になっていました。
当然その酒場でもカウントダウンパーティが企画されていましたが、私たちは街中でやろうと決めていたので、
店を出て路面電車で街へ戻ります。街中は、まだカウントダウンまでかなり時間があるというのにすごい人です。
そこら中ででかい爆竹の音が鳴り響き、中心部のケルントナー通りやグラーベン通り、シュテファン広場周辺には露店
も出て、グリューワイン(ホットワイン)などを売っています。それを見た友人は相変わらずハイテンションで、
友人「おっ、グリューワインが売ってるぞ。よーし!ここらで2次会といこう。(露店の方に向かいながら)
エクスキューズミー」
と、人の群がる露店に分け入って行きます。
私「おーい、ちょっと、大丈夫か」
そんな心配をよそに、両手にグリューワインの紙コップを持って戻ってきました。
友人「ほい、かんぱーい!」
私「おいおい、そんなに飲んで大丈夫か」
友人「だいじょうぶ。まだ全然平気だよ。ヒクッ!」
そんな感じでしばらくお祝い気分の街中をうろついていましたが、カウントダウンに向かって人は増える一方、
次第に通りを歩くのも困難な人出となってきました。
そんなとき、向かいの広場で派手な音響装置を並べたグループが、ミニコンサートをやっているのが目に入りました。
その周囲は一際たくさんの人が集まっています。私たちは時間を持て余していたので、ちょっと見ていこうと
人の間をすり抜けてそちらへ行きました。知らないグループですが、賑やかで明るい雰囲気に、
「いい大晦日だ」と浸っていると、ふと気づいたら友人の姿が見当たりません。周りはいつの間にか、
知らない人々に囲まれていました。
あれ?どこいった?これはまずいぞ。とすぐに人々をかき分け友人を探しますが、何しろすごい人で自由に動き回る
こともできず、さらに夜ということもあり、人を見分けるのに非常に苦労します。まいった。はぐれちまった!
時間は11時半近く。私は考えました。どうしよう。もっと探すか。あと30分でカウントダウンだ。
そういやさっき酒場で、カウントダウンはシュテファン広場にしようかって言ってたっけ。とにかく探しながら
シュテファン広場の方に行ってみよう。と、私の考えは落ち着き、爆竹の音が激しさを増す中、周囲をよく注意しながら
シュテファン広場へ向かいます。
が、結局途中では発見できず、広場に着いてしまいました。シュテファン広場はものすごい人で埋め尽くされていて、
もはや歩くのが困難な状態になっていました。これはとても人探しできる状況じゃないな。あと10分でカウントダウン
だというのに。こうなればしかたない。一人でもカウントダウンを楽しもう!と、そのときにはもう、開き直り状態です。
そして、12時と同時にシュテファン寺院の鐘がなり、あっちこっちで花火が打ちあがり、周りの人は叫んだり、
抱き合ったり、ワインをらっぱ飲みしたりとたいへんな騒ぎです。私も知らない人にワインを勧められて上気分。
いやぁ、なかなか活気ある新年だなぁ。こういうのっていいなぁ!としばらくハッピーニューイヤーを楽しみました。
しばらくして忘れていた友人のことを思い出し、そうだった。探さなきゃ。とはいっても、これじゃ見つけようがないし。
しかたない。とりあえずホテルへ戻って待つかと、少し動きの出た群衆の間をかき分けつつ、注意深く周りを見ながら
歩き出します。
もし、ホテルに戻ってこなかったどうしよう。だいぶ酔っぱらってたしな、と、次第に心配になりつつあったそのとき、
まさに前方に見知った顔が!しかもあろうことか、その顔はごきげんで、地元の若い女性と手を組んで踊っています。
私はその状況を理解するのに、ちょっと時間がかかりました。は?どういうこと?なにこれ?私は友人のもとに寄っていくと、
私「おい、なにやってんだ。ずいぶん探したぞ。どうしたの?この人たちは」
友人「おう、いいところへ来た。いや、よくわからないけど、盛り上がってたら手を持たれて踊りだして。。。」
若い女性「ハーィ!なんたらかんたら(ドイツ語らしくよくわからない)」
と、連れの女性が今度は私の手を取って踊り出します。えっ!あっ!あー!よっしゃ!とつられていっしょに踊る私。
いろいろあったけど、まあ、いいか。今日はハッピーニューイヤーだ!
ちなみにこんな感じで盛り上がっているのは、もちろん私たちだけでなく、むしろこれが普通の風景で場の雰囲気に
溶け込んでいる感じでした。
そのあとも4人で身振り手振りで話しながら酒を飲み楽しみました。が、翌日、頭がわれんばかりの二日酔いになり、
ボロボロであったということを付け加えておきます。