チーズフォンデュ奮戦記 -ローザンヌ-
食道楽の私としては、旅先での食事は大きな楽しみの1つです。で、スイスといえばチーズフォンデュ。
これは絶対本場で食べたいと思い、私は友人と2人でローザンヌの街をチーズフォンデュを求めて彷徨っていました。
しかし時期はクリスマス。多くの店が夕方で閉店してしまって、開いてる店は数少ない。ましてチーズフォンデュのある
庶民的なレストランを探すのは至難の技か、と思いきや、あった!駅前の裏通りに面したいかにも大衆的なレストランで、
入り口脇に置いてあるボードに確かにチーズフォンデュと書いてある。しかも値段も安い。さんざん歩いて半ば諦めかけ
ていたところだったので、私たちは迷うことなく店のドアを開けました。
中は想像どおり大衆的な雰囲気で、近所のおじさんらしき人たちが4、5人ワイワイ話ながら一杯やっています。
玄関口に立って様子をうかがっていると、店のおばさんがやってきて、
おばさん「何たらかんたら(フランス語で何か言う)」
私「2人ですが、食事をしたいんですが(英語で言う)」
おばさん「何たらかんたら(フランス語で何か言う)」
うーん。おばさん、フランス語しか話せないのかな。困ったぞ!
私「すみません。フランス語はよくわからないんです(英語で言う)」
そのあと、ゼスチャーも交えて、
私「あー、夕食。。。食べたい。。。OK?(英単語を並べて言う)」
おばさん(時計を指して)「何たらかんたら(フランス語で何か言う)」
これは困った。このおばさんは何がいいたいんだろう?時計を指して何か言っているけど、ひょっとしてここももう閉店?
そんなぁ!頼むよ!まだ外にメニューボードが出てるじゃないか。そんなことを考えていたら、おばさん、話すのをやめて、
手でちょっと待ってと合図をして、中で一杯やっている近所のおじさん?たちのところへ行き、なにやら話をすると、
今度はそのおじさんの一人を引き連れて戻ってきました。残ったおじさんたちもみんなこちらに注目です。
むむ。なんだ。なんか思いっきり注目浴びてるな。すると、やって来たおじさんは片言の英語で、私たちに向かって話し
始めました。
おじさん「あー、ドリンク、ナウ、あー、ミール、ウェイト」
なにやら片言過ぎてよくわかりませんが、このおじさんが唯一の頼みです。なんとか意思疎通しなくちゃ。
おばさんも横で様子を見ながら、ときどきおじさんとフランス語で何やら話をしています。それからも私たちは、
お互いゼスチャー交じりで片言の英語を駆使して意思疎通を計りました。
おじさん「あー、ナウ、オーケー?ナウ、ドリンクタイム。ミール、ウェイト、(時計を指しながら)リトル。。。」
うーむ。なるほど。なんとなく読めたぞ。今はドリンクタイムだからミールはもうちょっとウェイトしてくれといってる
んじゃないかな。いや、そうに違いない。そう確信した私は、ゼスチャー交じりで、
私「オーケー。オーケー。ノー、プロブレム」
おじさん「ユー、オーケー?」
私「イエス。オーケー。アイ、アンダスタンド」
ということで、どうやら私の理解は合っていたらしく、おじさんは満足そうに笑みを浮かべながら、
おじさん「(テーブルを指しながら)ユー、ウェイト?」 というので、お言葉に甘えてようやく店のテーブルに着くことが
できました。しばらく店のおばさんや客のおじさんと大奮戦をしていたおかげで?ほどなくディナータイムとなり、
お目当てのチーズフォンデュを注文。このあとチーズフォンデュを食べる私たちの様子を、横の席で見ていた客のおじいさんが、
見るに見かねたらしく、食べ方指導をしてくれるといううれしいハプニングもありました。そのおじいさんも英語はまったく
話せないらしく、ひたすら実践での指導でした。地元の大衆レストランでの暖かい人の心に触れた楽しいハプニングでした。
それにしても、まずはもう少しフランス語を勉強していけって感じですね。