イライラランチ -ケアンズ-
それはケアンズに朝早く到着した日のことでした。私たちは午後から現地エクスカーションに参加することに
なっていました。エクスカーションはホテルでピックアップしてもらうことになっていましたが、時間があるので
午前中は肩慣らしに町の散歩に出かけました。とりあえずは町の雰囲気を楽しもうと近場をのんびり散歩しましたが、
まだピックアップ時間まで1時間近くあったので、
私「ちょうどお昼だしまだ時間もあるのでどこかで軽く食べようか」
奥さん「えっ、朝ホテルでいっぱい食べたのにもう食べられるの?」
私「だってもうお昼だよ。ホテルで食べたのは朝食じゃないか」
奥さん「でも、いっぱい食べたじゃない。まあ、いいわ。付き合ったげる」
ということで、軽く食べられる店を探して再び町を歩き回り、カジュアルな雰囲気のレストランを見つけました。
入口のメニューを見て、
私「おっ、この店ならパスタやピザなんかがある。ハンバーガーもいろいろあるよ。あまりうろうろしてても
時間がなくなるからここにしようか」
奥さん「そうしよう。ちょっと疲れたし、値段も手ごろだし」
ということで即断、入口のドアを押して中に入ります。しかし中には誰もいません。お客はおろか店の人の姿も
見えません。ん!だいじょうぶかな。この店。それでも入ったしまったし、他に当てもないので「ハロー」と声を
掛けてみます。2,3回声を掛けてみると、ようやく奥から店の人が出てきました。
私「あっ、店開いてます?」
店の人「ええ、好きな席にどうぞ」
ということなのでまずは一安心。窓側の適当な席に落ち着き、メニューを広げて注文の吟味です。
私「えーと、じゃあおれはカルボナーラにしようかな」
奥さん「わたしはこのハンバーガーにする」
私「おっ、意外とボリューミーなもの選ぶね」
奥さん「付き合ってあげるのよ。それにどうせ半分もらうくせに」
私「うーん。。。」
ともかく注文も済み、午後のエクスカーションや夕食のレストランなどについて話が盛り上がっていました。
しかし一通り話が落ち着いたころになってもなかなか料理が出てきません。エクスカーションの集合時間もあるので、
しだいに時間のことが気になりはじめました。
私「ところで、料理遅いね。まあまだ30分近くあるけど、そろそろ出てきてくれないとゆっくり食べられないな」
奥さん「ほんとにちょっと遅いよね。お客さん私たちだけなのに。でもさすがにもう来るんじゃない」
とは言ったものの、客はずっと私たちだけで周りには店の人の姿も見当たらず、静かでまったく取り残されたかの
ような状況です。
奥さん「どうしよう。あまり遅いようなら、断って出るしかないかな」
私「うーん。注文しちゃってるし作ってるだろうからとりあえずギリギリまでは待とうか」
などと話しながらも、そわそわいらいらしながらさらに5、6分が経ったところで、奥のほうから店の人が出てきました。
しかし料理を運んで来たようではないようです。そこで、店の人に聞いてみます。
私「すみません、料理はまだですか?」
店の人「ちょっとお待ちください。もうできますので」
私「すみませんが、あまり時間がないので急いでもらってもいいですか」
店の人はうなずいて中に戻っていきましたが、しばらく経っても再び出てくる様子はありません。
これはいよいよやばいかもしれない。私はしだいに落ち着いて座っていられなくなり、店の人を探してうろうろしながら、
私「どうしよう、やっぱりもう行こうか。あと10分ちょっとしかないよ。ここからホテルまで5分くらいかかるから、
もう食べてる時間がほとんどない」
奥さん「そうだね。時間切れだね。もう行こう」
私「うーん、残念だな。でもしかたがない行こう」
とまさに決心したそのとき、店の人が私たちの注文したカルボナーラとハンバーガーを持ってやってきました。
店の人「はい、お待ちどうさま」
私「えっ、あっ。いや、しかし。。。」
店の人は食事を楽しんで!といって呑気に去っていきました。
うーん。実質あと5分くらいしかないのに、来てしまった。しかも両方とも特大サイズ。しかしうまそうだな。
いや、のんびり構えてる時間はないぞ。
奥さん「来ちゃったね。どうしよう。こんなに大きいの数分で食べられないよ」
私「でもうまそうだ。あ、いや、来ちゃったものはしょうがない。食えるだけ食って行こう」
ということで、私は作りたてでアツアツの大盛りのカルボナーラをどんぶりをかき込むようにものすごい勢いで食べました。
熱くて舌を焼けずり、途中でハアハア言いながらもなんとか数分で平らげふぅーっ、と一息。そこで奥さんを見るとまだ
特大バーガーの半分も進んでいない状況です。
奥さん「うーん。おいしいんだけど、とても食べられないよ」
私「もう時間がないから紙に包んで持っていこう。おれもちょっと食べてみたいし」
ということで、残ったバーガーをティッシュで包み、皿に残っていたフライドポテトを私が口の中に押し込んで、
レジの前で大声で店の人を呼んでお金を払います。
店の人「あら、食べるの早いですね」
私「ええ、ちょっと急ぐもので」
相変わらず呑気な店の人だ。しかしまあ、我々の事情を知らないから当然なんですが。
私「さあ、時間がない。急ごう」
私たちは小走りで急いでホテルへと戻りました。
結局なんとかエクスカーションには間に合いましたが、せっかくのおいしい料理もゆっくり味わうことなく、
どんぶり飯をかき込むように食べたのがちょっと残念でした。ちなみに持って帰ったハンバーガーはその後私が少し
食べましたが、エクスカーション中にその存在をすっかり忘れてしまって結局最後には残りを廃棄する結果となりました。
うーん。もったいない。