エジプト遺跡
エスナ、エドフ、コムオンボの各神殿

 ルクソール-アスワン間にはナイル川に沿って、エスナ、エドフ、コムオンボなどの町々が 点在し、比較的保存状態のよいプトレマイオス朝からローマ時代にかけてのの遺跡が存在します。

エスナ

 ルクソールからナイル川に沿って南へ58kmほど下ったところにある町です。 この町にはプトレマイオス朝からローマ時代にかけて建てられたクヌム神殿があります。 この神殿は牡羊の頭を持ったクヌム神に捧げられたものです。
 神殿は町中に囲まれて、掘り起こされたように9m下の地表にあり、当時の地表の位置が よく分かります。現在は列柱室のみですが、その壁には見事なレリーフが残っています。

クヌム神殿

 クヌム神殿の列柱室入り口側です。町の建物と比較してかなり低い位置に あるかがわかります。この神殿が最初に発見されたときは、天井付近まで埋もれていたので しょうか?これだけの規模の神殿を壊さずに発掘するのも大変だったことが想像されます。

クヌム神殿裏側

 クヌム神殿の列柱室を通り抜けて裏側に出たところです。 壁面には保存状態のよいレリーフが見えます。

クヌム神殿内部(列柱室)

 内部の列柱室の保存状態もとてもよく、壁面に刻まれたヒエログリフやレリーフも よく見ることができます。
 この神殿はアスワンルクソール間の警察護衛隊の立ち寄りポイントになっていないこともあり、 訪れる人も少なくゆっくりと見学することができました。とはいえクルーズ船に乗れば立ち寄りますが。 そのせいかクヌム神殿付近の土産物屋のおじさんの客引き攻勢はけっこうすごいものがありました。

エドフ

 ルクソールからナイル川に沿って南へ108kmほど下ったところにある町です。 この町にはプトレマイオス朝時代の保存状態のよいホルス神殿があります。ここはハヤブサの頭を 持った姿で王権の守護神でもあるホルス神に捧げられた神殿です。
 カルナック・アメン大神殿に次ぐ大きな塔門を持っており、神殿内部にはホルス神の像が あちこちに残っています。また至聖所の前室天井付近は、後にキリスト教徒が台所として使用 したため、黒くすすけているところも見られます。

ホルス神殿塔門

 大きな塔門の壁面には、プトレマイオス8世がホルス神の前で敵を倒す姿が 描かれています。
 この塔門をくぐると広い中庭があり、その後に続く列柱室から至聖所まで、全体が状態よく 保存されていて、当時をうかがうことができます。

ホルス神殿列柱室

 中庭を抜けさらに奥へ進むと第1列柱室、第2列柱室があります。
 第1列柱室には礼拝部屋と図書室の2つの部屋が、また第2列柱室には香水を作ったといわれる部屋があります。
 柱に描かれたレリーフも状態良く見ることができます。

ホルス神殿北回廊

 至聖所や列柱室を取り巻く回廊です。両側の壁面には、ホルス神とセト神の戦いを 描いたレリーフなどがびっしりと描かれていて、なかなか見ごたえがあります。

コムオンボ

 ルクソールからナイル川に沿って南へ167kmほど下ったところにある町です。 ここまで来るとアスワンからのほうが近く、アスワンから46kmほどのところにあります。 この町にはプトレマイオス朝時代のコムオンボ神殿があります。
 この神殿は他の神殿と少し異なっていて、2組の神々に捧げられた複合神殿になっています。 そのため塔門の入り口や通路、至聖所などがすべて左右2つに分かれた2重構造を持っています。
 壁には当時のカレンダーや医療器具のレリーフなどが描かれており、この神殿がかつて人々が ホルス神の治療を受けるための場所であったことを物語っています。
 またこの神殿の天井にも黒くすすけた部分があり、かつてキリスト教徒が生活したあとがうかがえます。

コムオンボ神殿(入口側)

 側面から見たコムオンボ神殿の第1列柱室です。 列柱室の入り口には柱が3本建ち並んでいますが、柱の間にはそれぞれ通路があり、 2組の神々の別々の至聖所へと続いています。

コムオンボ神殿(至聖所側)

 神殿の奥のほうから見たところです。写真の左側方向に至聖所が 2つ並んであります。写真の右側すぐのところにはナイル川が流れています。

コムオンボ神殿(通路)

 列柱室から至聖所へと通じる通路です。この通路の一番奥が至聖所になります。
 柱や壁面のレリーフも見事です。