勘違いタクシー
無事荷物も戻り一安心!あとは早くホテルに行ってゴロンとしよう!今夜のアンカレジの宿は、行きに泊まったホテルと
同じところを予約してあります。空港の前でタクシーに乗って、
私たち「アンカレジホテルまで」
ドライバー「OK」
このドライバー、シルベスター・スタローンに似た若いにいちゃんで、気さくにいろいろ話し掛けてきます。
ドライバー「君たち、どこから来たの?」
私たち「日本からだよ」
ドライバー「日本かぁ、俺も前に一度行ったことがあるよ。さしみがうまかった」
私たち「アラスカの寿司もうまいよね」
そんな感じで話しながら宿泊先のホテルへ。と、思いきや、このにいちゃん、何を勘違いしたのか、いきなりヒルトンホテルの
玄関に横付けしてくれます。おいおい。違うだろ!
私たち「ちょっと、場所違うよ。我々はアンカレジホテルだよ。ここはヒルトンじゃない」
ドライバー「えっ、ここじゃないの?日本人はよくここに泊まるから」
私たち「我々はアンカレジホテル。ここの隣のホテルだよ」
ドライバー「ああ、アンカレジホテルね。OK。大丈夫、問題ない」
というわけで、今度はヒルトンのすぐ隣にあるアンカレジホテルの玄関に横付けしてくれました。
まあ、隣なのでヒルトンで降りて歩いてもよかったのですが。ちなみに料金メーターはヒルトンで止めてくれてあったので、
悪気があったわけでもないようです。それにしても、今回の旅はいろいろとハプニングがあります。
アンカレジツアー
翌日はアラスカ最後の日ということで、ゆっくりアンカレジに滞在です。午後から手配したガイドさんに周辺を案内して
もらうことになっていたので、午前中は2人で市内を散策することにしました。デパートやガイドブックに載っている毛皮の店
などをまわり、おみやげなどを買い、ファストフードで軽い昼食。
T氏「Mのハンバーガーはどこでも食べても同じだな」
私「うん、だからはずしもしないけど、わくわくもしないな。ま、安定感あって安心して食べられるけど」
その後、ホテルのロビーでガイドさんと待ち合わせて、ワゴン車に乗り込み出発です。アラスカ山脈が見渡せるターナゲイン入江
に面したビューポイントや、アイスクライミングの名所、アンカレジ郊外のスキー場、フッド湖水上機飛行場などを
回ってもらいました。ホテルへ戻る途中、ガイドさんが、
ガイド「今日はニューイヤーイブだ。君たちはどうやって過ごすの?」
私たち「ホテルのレストランでカウントダウンしようと思って予約したよ」
実は午前中、今夜のカウントダウンのためのレストランを探し回り、宿泊先とは別のホテルのレストランを予約したのです。
私たち「ガイドさんは今夜はどうするの?家でホームパーティとか」
ガイド「おれか、おれは独り身だよ。それに今夜は仕事さ。これから君たちと別れた後、タルキートナまでお客を迎えに行って、それから。。。」
とびっしり仕事が入っているそうで、ほんとお疲れ様です。ガイドさんとはホテル前で礼を言ってお別れし、一旦部屋に戻ることにします。
がんばってるガイドさんには悪いけど、今夜はパァーっとやろうなどと話しながらフロントで鍵を受け取ろうとすると、
そこには何と!偶然にもあのチェナで一緒だったMさんとKさんにばったり遭遇しました。
私たち「あれ!なに。どうしたんですか?」
MさんKさん「えっ、あれま!バローから帰って来てたんだ」
私たち「うん、昨日。そちらは?」
MさんKさん「俺たちも昨日チェナから戻ってきたんです。いやぁ、驚いたなあ」
私たち「ほんとにまたアラスカで会えるとは思ってなかった。びっくり」
いや、ほんとに驚きました。こんなドラマみたいなことも実際にあるんですね。というわけでさっそくみんなで夕食に行くことにしました。
思い出の夕食
ホテルのフロントでの劇的な再会の興奮、未だ冷めやらずといった感じで、私たち4人は連れ立ってアンカレジの街へ
夕食を食べに出かけました。まあ、最初から同じ日に同じホテルへ泊まることがわかっていれば、ばったりホテルで会っても
そんなに驚かないでしょうが、そういえばチェナで別れた後の詳しい日程については互いに話してなかったので、
再会の驚きと感動はひとしおです。
私たちはチェナでの思い出や、別れてからの出来事などについていろいろと話しながら日本料理店に入りました。
私たち4人「お、けっこういろんなメニューがあるなぁ」
私たち4人「えーと、おれは何にしようかな。寿司がいいかな。ツナロール。あっ、これは鉄火巻か」
私たち4人「おい、ラーメンもあるよ」
なんて感じでなんだかんだと口走りながら、それぞれが料理を注文。そのあとはまた自然と旅の話題に花が咲きます。
MさんKさん「バローはどうでした?」
私たち「うん、向こうでも日本人旅行者と出会って、いっしょに真夜中の北極海散歩をしましたよ」
MさんKさん「へえー、それはおもしろそうですね」
私たち「Mさんたちは?もう1日チェナにいたんですよね」
MさんKさん「そうそう。で例によってオーロラがんばったんだけど、結局前日までのほうが綺麗でしたよ」
私たち「そうなんだ。じゃあおれたちは運がよかったんですかね」
などと話をしていると時間はあっという間に過ぎ、午前中に予約をしたレストランの時間が迫ってきました。
私たち「。。。というわけで、おれらはこれからレストラン移りますよ」
MさんKさん「そうですか。じゃあ、おれらはこのあとバーにでも行ってお祝いするかな」
私たち「それじゃ、ここでほんとにお別れかな。日本に帰ったら連絡します」
MさんKさん「うん、それじゃ、お元気で」
というわけで、MさんKさんとは2度目のお別れをして日本料理店を出て、予約したレストランへと向かいます。
T氏「今の店で食いすぎた。レストランで食べられるかな」
私「おれも」
最後の夜のカウントダウン
レストランへ着き予約した旨を伝えると、すぐに席に案内してくれました。そして店の人が紙でできた王冠やラッパを「どうぞ」
と言って渡してくれます。
私「これ、もしかして、カウントダウンのときに使えってことかな」
T氏「そりゃそうだろ。でもこれをくれるということは、なんか楽しいことでもあるのかなぁ。わくわくするな」
私「そうだな。最後の夜にふさわしくなりそう!ところで、いい眺めだなぁ、ここは」
T氏「やはりホテルの最上階だけあって素晴らしい景色だね。アンカレジの夜景もきれいだ」
その席はアンカレジの街と遠くの山々が一望できる最高の席でした。店の人がさっそくメニューを持ってやって来ます。
さっき日本料理店で食べてきたというのに、いきなり肉料理に目が行く我々。。。さらに必須のアルコールリストを見ながら、
私「うーん。やはり俺としてはまずはビールだな。このアラスカビールってやつにしてみようかな」
T氏「あ、それいいね。俺もそれにしよう」
ということで注文を終えて、あとは料理を食べ、歓談しながら12時が来るのをひたすら待ちます。
ボリュームたっぷりの食事を何とか食べ終え、店の人が目の前で切ってくれた大きなケーキを食べます。
チェナへ行く途中の雑貨屋で食べたケーキを思い出し、最初はちょっと警戒しながらパクリ。
私「うん。これなら大丈夫。けっこう甘いけどうまいよ」
T氏「どれどれ、。。。確かにこれなら問題なく全部食べれそうだ」
このあとはバータイムです。酒を飲み雑談しながらいよいよカウントダウンが迫ってきました。5分くらい前になると、
店のほうからなにやらアナウンスが入りました。よくわからなかったですが多分あと5分というようなことを言っていたのだろうと
勝手に思い込んでそわそわしながらそのときを待ちます。
そしていよいよ10秒前となったとき店からの合図でいっせいにカウントダウンが始まりました。
みんな「10、9、8、7、・・・」
もちろん私たちも一緒に、
みんな「 3、2、1、HAPPY NEW YEAR!」
店からもらった紙ラッパがいっせいに鳴り響き、みんなおめでとうを言い合い、老夫婦は抱き合って口づけを交わして
それぞれの新年をお祝いしています。私たちも頭に紙王冠をつけ、紙ラッパを吹きながら近くの人と、「HAPPY NEW YEAR!」
控えめではありますが、何か心温まる新年の始まりです。さあ、今年はどんな旅がまっているのかな。
旅の終わり
1月1日、朝。今日はほんとうに後ろ髪を引かれつつアラスカを離れる日です。帰りも行きと同じシアトル経由で、
アンカレジを早朝の便で発つ予定です。前日は夜中まで紙ラッパを吹いて騒いでいたので、起きるのがほんとうにつらい。
でも寝坊して乗り遅れたなんて洒落にならないので、目覚ましを2重にセットしなんとか這い上がりました。
でも眠い!昨日の酔いも残っていて目が半空き、意識朦朧としながら身支度を整えます。
T氏「ふわぁー。眠い。まだ外は真っ暗だぜ」
私「ああ、もう一泊してゆっくりして行きたい。ふぁーぁ」
と、朝早く帰ることに愚痴をこぼしながらも、なんとか準備を整え空港にやってきました。空港には思ったより人がいましたが、
カウンターはそれほど混んでもいなかったので早々にチェックインを済まし、あとは時間つぶしも兼ねてのんびりとショップを
見て周ります。
私「あっ、これなんかお土産にいいんじゃない?一目見てアラスカって感じだし」
T氏「どれどれ、うーん。確かにいいけどこれ、メイドインチャイナって書いてあるよ」
私「うーん。ここが中国なら買いなんだけどなぁ」
T氏「そうかぁ?」
ショップを一通り見て回った後は搭乗時間までカフェで待ちです。
私「はぁ、あとはいよいよ飛行機に乗って帰るだけか」
T氏「成田に着くとどっと疲れがでるんだよね。今はまだ元気だけど」
私「そうなんだよね。翌日会社行くのがしんどそうだなぁ」
このアラスカの旅では、たくさんの人との出会いや、ハプニングがありましたが、それだけにほんとうに印象深いものになりました。
次の旅ではどんな出会いやハプニングがあるか、これだから旅は止められない。