argentinachile パタゴニア発:居眠りドライバー!

 南米パタゴニア地域は変化に富んだ雄大な大自然が広がる地域です。それだけに人口も少なく町と町の距離もかなり離れています。そんな中、私たちはアルゼンチンのリオガジェゴスから、チリのプンタアレナスまでの移動に、ドライバー付きで一台の車を手配していました。この区間は途中、国境の検問がありますが、砂漠の中のダート道を延々6時間の道のりです。
 我々はリオガジェゴスの空港でドライバーと待ち合わせていました。こちらはスペイン語で日常会話が出来るほどの語学力はないので、英語の話せるドライバーをお願いしていたのですが、そこに現れたのはなんと英語の全く話せないインディオ系のドライバー。おいおい、話が違うだろ、この人とのコミュニケーションはどうやってとればいいの!と最初は思いましたが、そのドライバーはニコニコして陽気で気の良さそうな人なので、まあいいか、なんとかなるだろ!と思い、車に乗りこみます。ドライバーは運転を始めるとさっそく、陽気にスペイン語でいろいろ話し掛けてきました。しかし。。。
 私たち「え?。。。は?。。。うーむ。Sorry,I can't speak Spanish.Can you speak English?」
通じないとはわかっていても、つい「英語わかりませんか」などと聞いてしまいます。
 ドライバー「???(スペイン語で何かまた言う)」
 私たち「???Sorry,I don't understand you.」
 ドライバー「???(スペイン語で何かまた言う)」
とまあ、こんな具合で会話が成立しません。まいった!こりゃお手上げだな!と思いながらも、これから6時間近くこのドライバーとともに旅をするわけなので、なんとかせねばとスペイン語の会話集や辞書を取り出して、コミュニケーションをはかろうと努力してみます。が、所詮その程度では会話にならず、やはりお手上げ状態です。まいった!しかしそれはドライバーにとってもまいった!といったところだったのでしょう。何しろ退屈な道中、お客と世間話でもしながら行くかと思っていたら、相手はまったく言葉が通じないときたもんだから。
 しばらくはお互いに努力はしたものの、なかなか思うように運ばず、窓外の景色をぼんやりと眺める時間が多くなってきました。周りは見渡す限りの砂漠地帯、しかもそれが延々と続きます。うーむ。最初はものめずらしくてよかったけど、こう同じ風景が続くとちょっと飽きるな、そんなことを考えながらボーッとしていると、 ダートの一本道を走る心地よい振動と、変化のないタイヤの音にあいまって、これまでの旅の疲れがどっと出て、どうしようもない眠気が。。。
 私たちがうつらうつら夢気分になっていたそのとき、突然車を激しい振動が襲い、体がガクンガクンと揺れました。
 私「うわぉ!な、なんだ!」
びっくりしてあたりを見ると、いつのまにか車は道をそれて、でこぼこした砂漠地帯を走っています。そして運転席では慌ててハンドルを切るドライバーが。。。 どうやらこのドライバーも私たちと同様、眠気に襲われていたようです。なんとか道路には戻ったものの、ドライバーはしきりに頭を振りながら何やらぶつぶつ言って眠気を追い払おうとしています。こいつはまずいぞ!我々がうとうとしてる間に、気づいたらあの世だったなんて洒落にならんぞ!それからはとてものん気にうたた寝なんてしてる状態じゃなく、ドライバーを眠気から遠ざけるべく一生懸命です。
 私たち「運転手さん、大丈夫。このあめなめるといいよ。すっとするから(日本語とゼスチャーで)」
 ドライバー「(なんたらかんたら)、ドミンゴ、(なんたらかんたら)」
 私たち2人で「ん?今ドミンゴって言葉聞こえなかったか?ドミンゴって日曜日って言う意味じゃなかったっけ?」
 私たち2人で「でも、それだと意味がわからないぞ。うーむ。とにかく辞書見てなんか話し掛けないと」
 私「よし、エン、ケ、プエド・・・・・」
てな感じで私たち2人とも一生懸命ドライバーのお相手です。私たちが話し掛けると、ドライバーは思いっきり頭を振りながら何か返事をするのですが、もちろんスペイン語なので意味はわかりません。ときどき知ってる単語が出てはくるのですが。。。 それでもちょっと油断をするとスーッと眠けにハンドルをとられます。その度に私たちはドライバーを揺り起こし、ドライバーは思いっきり頭を振り、顔を叩きながら必死の走行でした。私たち自身の眠気はまったく吹き飛び、とにかく一刻も早く着いてくれぇ!と願うしかありません。しかしこういう時の時間ってほんとに長く感じますよね!ようやく国境の検問所に到着したときは、本当に心底ホッとしました。
 私たちはそこで出入国手続きのついでに、一息入れてリフレッシュしてから再びプンタアレナスに向けて出発です。また眠くなるのではないかとちょっと心配でしたが、一息入れたのがよかったようで、それからのドライバーは調子もよく、盛んにゼスチャー交じりで私たちに話し掛けてきます。それに私たちもゼスチャー交じりで答えながら、後半はなんとか無事完走、プンタアレナスに到着しました。約6時間の緊張の長旅もようやく終わりです。しかし今考えるとそれならもっと早めに一息入れろって感じですね!ま、ともかく今度行くときはもう少しスペイン語を勉強しなくては。