珍道中

波乱万丈!アラスカ鉄道の旅3
  時刻はお昼過ぎ、列車はどこまでも変わりない雪原風景の中をひた走っています。隣ではツアーの団体さんが配られた和風弁当をおいしそうに食べています。私たちはといえば、隣の団体さんの弁当の匂いをなるべく嗅がないように、車窓の風景に神経を集中しようとがんばっていますが、腹は正直でグーグー鳴っています。車内や途中駅で食料は売ってないことはわかっていましたが、まあいいか、と軽い気持ちで乗り込んだのが失敗でした。私たちは小声で、
 私「いやぁ、まいったね。腹減ったー!」
 T氏「ほんとほんと。チョコとおかしくらいだったら少しはあるけど食べるかい」
 私「食べる!食べる!いや、助かるよ。なんか俺たち、遭難した気分だな」
 T氏「こんなところで遭難したら助からないぜ」
 私「確かに。とにかくフェアバンクスへついたらうまいもの食べよう!」
そんなことを話していると、列車が突然急ブレーキをかけて停止しました。えっ!なになに?またフォトストップ?でもいやに荒っぽい止まり方だったな!しかししばらくしても何のアナウンスもなく、車掌はといえば外で機関士らしき人と歩き回って何やらやっています。ただならぬ雰囲気に乗客も何人か降りて見ています。そのうち、外に見に行った乗客の一人から、ムースを跳ねたようだという声が聞こえてきました。えーっ!そんなことがあるんだ!どうやら列車が飛び出してきたムース(アラスカに住む鹿の一種)を避けきれずに跳ねてしまった模様。そのときは跳ねられたムースはどうしたんだろう?死んじゃったのかな?とムースの心配をしていましたが、このあと自分たちの身にとんでもないことが起ころうとは、このときは知る由もありませんでした。列車はしばらくして復旧作業が済み次第、再びのろのろと動き出しました。
波乱万丈!アラスカ鉄道の旅4
ネナナにて(写真)-40℃のネナナの夜

 それからしばらくは今までどおり、荒涼とした雪原を快調に走っていました。
 私「はぁ、腹減ったなあ。フェアバンクスまであとどのくらいなんだろう?早く着かないかな」
 T氏「予定時間から考えても、まだ3時間くらいはあるよ。しかもさっきの事故で遅れているだろうから、もっとかかるだろうなぁ」
 私「まいったなぁ」
などとぼやきながら窓の外を何気なく眺めていると、列車のスピードが再び落ちてきているのに気づきました。こんなときに何もそんなにのんびり走らなくてもなどと、勝手に文句を言っているうちにみるみるスピードは落ち、やがて止まってしまいました。なんだ!もう外は暗くなってきているのに、まだフォトストップしてくれるのか!と、外をのぞくと、また車掌と機関士が前の方でなにやら作業をしています。おいおい!また何かトラブルかよ!
 その後動き出すも、また少し行ったところで停止。いよいよどうもおかしい!と、思っていると、同じように不安を抱いていた他の乗客が、前のほうに行って聞いてきたらしく、「さっきムースを跳ねたのが原因で、列車のヒーターが壊れたらしい」と話しています。そういえばさっきからちょっと車内が冷えてきたような。。。こんな山の中で冗談じゃない!早く行ったほうがいいんじゃないか!乗客が騒ぎはじめた頃列車はのろのろと動き出しました。しかしフェアバンクスまではまだ何時間もかかるはず。にもかかわらず車内はどんどん冷えていきます。
 そのうち車内にいても吐く息が白くなり、乗客が脱いでいたジャケットを着始めた頃、列車はネナナの駅へと滑り込みました。いったいどうなることかと乗客一同落ち着かない様子でいると、車掌がやってきて、これより先へ行くのは無理なので、ここでフェアバンクスからの救援バスを待ってくれと説明しています。かくしてアンカレジからフェアバンクスへのアラスカ鉄道の旅は、志半ばにして?終わりを告げました。このあとネナナの駅前のバーで、乗客全員が救援バスを首を長くして待つのですが、詳しくはハプニング集をご覧ください!
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